古賀歯科医院 休診予定などのお知らせ

当院の休診や歯科医師の不在情報、歯科に関する意見や参加した勉強会の報告などについて書いています。ちなみに嫌いな言葉は『with コロナ』とか『コロナと共存』というスローガン。

「だらだら食べ」が肥満予防に? 九大研究

以下のような記事が、AFPBB Newsに掲載されました。

【AFP=時事 2018.2.13配信】早食いになりがちな人は、食べ物をよくかんで箸を休めながら食事をすることで減量できる可能性があるとする九州大学(Kyushu University)の研究論文が13日、発表された。

要点だけを抜粋しましたが、ご覧のとおり食事をよく噛んで、食べた方が肥満防止になるかもしれないという九大の研究を報じたものです。

さて、現在、歯科では一般の方たちが思っている以上に多くの疾患や病態を扱うことになっています。数十年前は歯科が扱う疾患というと、歯槽膿漏と虫歯くらいのものでした(実際には違います。大昔から癌とか骨折なんかも扱いますし、歯列矯正もそうですよね。)が、現在は多くの歯科疾患を一般歯科医院でも扱うことが多くなっています。
他の歯科医院でもそうだと思うのですが、古賀歯科医院でよく患者さんに言及しなくてはならないものの一つに歯ぎしり・食い縛りいずれもブラキシズムと呼びます。)があります。これはそれだけでも一つの病気ではありますが、厄介なのは他の歯科疾患を増悪させることです。歯周病の患者さんも、虫歯の患者さんも、顎関節症の患者さんも、歯並びの悪い患者さんも、ブラキシズムがあると年齢が上がれば上がるほどそれらの病気が格段にそりゃもう悪くなっていきます。
なので、例えば極端な例だと、銀歯が外れてそれを付け直しに行っただけなのに、ブラキシズムの治療を受けることになって、それから銀歯を作り直すなんてことも起こり得ます。歯周病なんて本来ならまだ抜歯しなくていいくらいのものでも、ブラキシズムがあるためにあっという間に抜歯に至るなんてこともザラです。これは、近年、歯科業界で「力のコントロール」という決まり文句で言われるものです。
ブラキシズムと早食いが何の関係があるんだ?とおっしゃるかもしれませんが、まだ多分何の科学的根拠があるわけではないのですが、実際に患者さん達と接していると、食い縛りや歯ぎしりの癖のある患者さんは、どうやら咀嚼力のコントロールが正常ではないことが多いような気がしています。分かりやすく言うと、食べ物を食べる時の顎の力の入れ方がちょっとおかしい人が多いような気がしているのです。
実際に問診すると、案外、早食いの患者さんが多いです。
早食いは、いわば短時間で食べてしまうことが第一目的ですから、つい力み過ぎてしまうという事もあるでしょう。そして、柔らかい寒天だろうと固い梅干しの種だろうとあまり意識せずに同じ力で噛み砕く…そのためには弱い力で噛むよりは強い力で噛みこんだ方が確実にものをかみ砕けますから、結果、やたらと強い力だけでものを食べる癖が付いてしまったということも考えられます。
当然、ブラキシズムほどではないにせよ、歯に大きな負担を強いていることになります。
(蛇足ですが、そういう患者さんはよく言われます。「若い頃からそうやって食べてきた。何も問題はなかった。」だから、遠回しに言い返します。「若い頃はね。でも、もうあなたは若くない。ましてや、歯は休ませてもらえないまま現在に至って、悲鳴を上げ始めているのですよ。」)

さて何が言いたいのかというと、寝ている時に無意識にやってしまう歯ぎしり・食い縛りは患者さん本人が注意していてもなかなか治るものではありません。(実際には寝ている時だけではないことが多いですが。)
けれども、食べ方は何十年もそのような噛み方が身についているのでそうそう改善させられるものではありませんが、意識すれば何とか変えることができそうです。このような地道な努力が、患者さん自身の健康寿命を延ばしたりQOLを向上させるのに一役買うことになるのでしょう。なぜなら地道な悪い習慣が、今の患者さんの悩みの種を作っているのですから。
何よりも、ゆっくりよく噛むことは栄養をより多く摂取することができ、唾液の分泌も大いに促し、癌(特に口腔癌)の発症を予防するのに役立つわけですから、そうしないことの方が不思議なくらいです。


 結論:孔子論語で言っているように(ウソ)食事はゆっくりよく噛んで!