FAP美白歯科研究会が主催した東京の特別セミナーに参加してきました。（副院長）
今回はFAPホワイトニングの話はほとんどなく、山岸先生が近々論文発表される新しい概念の理論と、それをターゲットとした治療法の講義に大半の時間が割かれました。正直言って、話を聞かされれば理解できるし、そういうこともあるのだと考えられますが、根本的に歯科治療に関して着目する点が私達とは大きく違うことに驚かされました。
話が逸れますが、私個人が尊敬する歯科医師は二人いまして、一人は義歯の大家である阿部晴彦先生。そして、もう一人がこの山岸先生です。尊敬ではなく、心酔していると書こうと思いましたが、これだと狂信的･妄信的なイメージがありそうなので、やはり普通に尊敬していると・・・強く尊敬していると表現します。
それで、山岸先生ですが、オリジナリティ溢れるFAPホワイトニングを開発されたのも特筆すべきことですが、それを応用して高めていったのが、かのNature誌に掲載された世界的にも衝撃的な論文です。いわゆる虫歯とは全く関係ないと思われがちなホワイトニングを虫歯の治療に応用*1しようとする発想とその実践力に脱帽しますし、その結果はNature誌掲載という形で結実していますし、審美治療を受ける患者さんの為に考案した材料が、大手の歯科産業会社から請われる形で製品化されましたし、そのまま審美方面に突き進んでいかれるのかと思えば、今回のように原点に立ち返ったかのような歯周病や齲蝕、根尖病変に対する原因究明、治療法の確立に心血を注ぎ込まれているし・・・つまり、発想力も実行力も、私にはとても太刀打ちできないほどの才能があるということに関して尊敬の念を抱いているわけです。
すみません、話が大きく逸れましたが、今回のセミナーはその新たな概念の話が大部分だったのですが、それ以外にもまた違った角度からの治療と予防法*2や、件のエナメル質の再生（人口エナメル質）を利用した治療法なども語られました。・・・残念ながら、先生の発表がまだなので、ここで詳しく記述することはできないのですが、その新しい治療法や人口エナメル質の資材・材料は、少量ながら参加者（約100名）に配布されました。別の言い方をすると、人口エナメル質を使った治療や、新しい概念の治療ができる歯科医師は、現時点で日本で100名程度しかいない*3ということになります。もちろん、FAPホワイトニングをやっている歯科医院の先生の中の100名です。
うちでも早く使ってみたいのですが、当然自費治療になりますし、私も日々の雑務で忙しくしてますし、山岸先生自ら、必ず同意書に署名してもらうようにというお達しもありましたので、気軽においそれとは出来やしません(^^ゞ。実際に、患者さんに説明をして、治療を出来るようになる体制が整うまでには、もう少しだけ時間がかかりそうです。
さて、セミナーは、他にも特別講師としてアナウンサーの大平政美さんがレクチャーされたり、ゲストにかとうかずこさんが招待されたりと、いつもとは違った趣のセミナーでした。
*1:FAPホワイトニングに用いる薬剤･治療法が基になって、国内よりもむしろ海外で衝撃的に受け止められた"人口エナメル質（エナメル質の再生）"が開発されました。
*2:QUORUM SENSING＜クォーラム・センシング＞と言って、これはある意味、昔から知られている概念ではありますが、これを一歩前進させた概念が今回、披露された内容です。
*3:日本中で100名ということは、つまり『世界中でも100名しかいない』と言うことが出来ます。
