古賀歯科医院 休診予定などのお知らせ

当院の休診や歯科医師の不在情報、歯科に関する意見や参加した勉強会の報告などについて書いています。ちなみに嫌いな言葉は『with コロナ』とか『コロナと共存』というスローガン。

子どもの虫歯二極化、口腔崩壊も 経済格差背景

2017年5月11日付けの産経新聞(地方版)より

中1虫歯、昨年も全国最少 対策徹底で17年連続達成 新潟

 県は10日、独自に行った平成28年の歯科疾患実態調査で、本県の12歳児(中学1年)の虫歯数は1人当たりの平均で0・44本だったと発表した。文部科学省の学校保健統計調査でも0・4本となり、17年連続での全国最少を達成。全国平均の0・84本の半分以下と大きな差をつけた。県は、各校で地道に取り組んでいる「フッ化物洗口」などの予防対策の成果としている。

 12歳は永久歯がほぼ生えそろうことから、歯の健康状況を示す代表的な指標として国際比較にも用いられている。本県では28年は前年より0・02本減り、虫歯が全くない中1の割合も0・4ポイント下がり79・7%だった。

 日本一の成果をもたらした要因は、一定濃度のフッ化ナトリウム溶液を使って1分間うがいをするフッ化物洗口だけではない。全国的には虫歯になってから歯科医院に駆け込むケースが多い中、本県では虫歯になりやすい子供の受診を学校と歯科診療所が連携して促してきた。学校では給食後の歯磨きを徹底的に指導し、28年は全小学校の約95%が歯磨きを行った。

 30年以上前は状況が違った。昭和55年は中1の90%以上が虫歯を抱え、1人当たりの平均数は5・03本だった。県は翌56年から「虫歯半減10カ年運動」を開始。フッ化物洗口の経費の一部を補助してきた。

 この結果、中1の虫歯数は徐々に減って平成7年には3・01本となり、1・81本となった12年から全国最少を毎年維持している。18年は0・99本と初めて1本を切った。

 連続日本一について、県歯科保健係の担当者は「行政だけでなく歯科医師会、歯科系大学、教育委員会、各学校が一丸となって『当たり前に』やってきた結果だ」としている。(市川雄二)

註:ここで書かれている『県』というのは、新潟県のことです。

私、2年前は中学校のPTA会長、昨年は小学校のPTA副会長、現在は小学校PTA会長をさせてもらってます。その小学校の学校歯科医(校医)は11年目になります。また、地元の学校歯科医会の専務理事は7年目、福岡県学校歯科医会の委員は8年目になります。
その私が言います。
「行政だけでなく歯科医師会、歯科系大学、教育委員会、各学校が一丸となって『当たり前に』なんてできません。」と、いくつかの組織は当たり前のように言います。確かに、特に学校現場は皆が思っている以上に大忙しです。そこに、児童・生徒の身体を扱うような事業が加わるなんて、身の毛もよだつほど恐ろしいことです。何よりも新しいことをすることの難しさ…やってもいない内から、見たこともない内から「やらないに限る」と賢い選択をすべきだということでしょう。個人的に、以前、とある校長とお話しした時には、「うちの学校には、子供の為なら何でもやる先生ばかりです。」と胸を張っていましたが、フッ化物洗口の話になると、さすが校長になると一味違います。偏った話、特にネットで拾った話ばかりを根拠に及び腰になっておられました。そう!この現代社会はネット社会ですから、ネットで拾った偏った情報だけで十分に物事を判断できるのです。子供の健康問題が絡んでいるとなればなおさらです。
そこに、学校現場だけでなく、隣接する小中学校だとか教育委員会、更には市議などもそれぞれの立場でものを言われるから、複雑怪奇な話になってしまい、収集つかなくなってくるわけです。いや、本質は子どもの健康(…絶対に体の健康は、口腔内の健康から始まっているに決まっている!)なのですが、そんな話は置いといて、皆さんのそれぞれのお立場でものをお考えになります。そりゃそうです。皆さん、子供の為だけに、ましてや他人の子供の為だけに働いておられるわけではないので、当然です。だから、きっと『子供のためにやろう。』という話が、『子供のためにやるべきではない。』という話にすり替わってしまうのでしょう。
(念のために言っておきますが、地元の特定の小学校や教委のことを指しているわけではありませんよ。言ってみれば、それも含んだ福岡県下全般での話です。)
皆さん、自分の職務に一生懸命になり過ぎてて、遠い新潟県での集団フッ化物洗口の云十年という長い地道な歴史の成果をご存じないのでしょうし、お隣の佐賀県でも、ここ何年かで目を見張るほどの成果を上げていることもご存じないのでしょう。いやはや、本当に福岡県の関係者の皆さん、仕事熱心で本当に恐れ入ります。
ちなみに、昨年あたりから粕谷の各小学校ではフッ化物洗口が始まりました。でも、実は10年以上前から県内のいくつかの離島でも実施されていて、そこの小学校でのむし歯はかなり少ないという現実があります。しかし、多くの方たちは「子どもの健康のために」現実から目を背けるのでしょうね。
歯科医師としては、机上の空論でとやかく言うよりも、子供の健康のためにこそ、早く現実を直視してほしいのですけどね。まさか、子供のことを第一に思う件の方々が、“天の声”がしてから初めてしぶしぶやり始めるなんて、そんな恥ずかしいことはしないでしょうね。