福岡市歯科医師会主催の医事処理講演会に出席させていただきました。
講師は藤田茂之教授（和歌山県立医科大学 口腔顎顔面外科学講座）による、『開業医が知っておくべき抜歯後に生じる可能性のある下歯槽神経・舌神経障害への対処法』というものでした。
天気も悪く、出席するのをためらったりもしたのですが…行って大正解でした。主に下顎の智歯抜歯と関連付けられた偶発事故やその対処法、その防止策などがお話しされたのですが、卒業してからずっと下顎の埋伏智歯を抜歯し続けている者にとっても、あらためて注意しなければならないと感じさせられるとともに、実践的で具体的な抜歯のコツなどが供覧されて、非常に有意義でした。
当たり前のことですが、新しい方法論や材料のことも大事ですが、こういう古典的な話をその道のエキスパートから聞かせてもらうのは非常にありがたく、実になります。
余談ですが、今の若い先生…というよりも、ごく近い将来、歯科医師になる学生さんたちは、藤田先生のように口腔領域の神経外科のエキスパートを目指してみるのもいいのではないでしょうか。マイクロサージェリーという先端医療を用いて、神経障害（傷害）という事故などは多分、今後、もっと増えて、手術の需要が見込まれるからです。若い歯科医師がインプラントなどの、いかにも最先端の歯科医療のようなものを、如何にも手っ取り早くできるようになりたいなどと思うよりも、ずっと建設的な話だと思うのですがね。（言うまでもないですが、インプラントそのものを否定しているわけでもなく、それを行っている先生方を非難するものでもないですよ。それこそ、インプラントもそれ以外の経験を十分に積んだ先生がやるべきものだと思っていますし、それを経験の浅い先生がやりたがる風潮を、いかにも…と揶揄しているだけです。）
