古賀歯科医院 休診予定などのお知らせ

当院の休診や歯科医師の不在情報、歯科に関する意見や参加した勉強会の報告などについて書いています。ちなみに嫌いな言葉は『with コロナ』とか『コロナと共存』というスローガン。

第5回九州再生歯科フォーラム講演会

福岡県歯科医師会館で開催された『歯周治療・再生治療の最前線 ここまで進んだ再生医療ビジネス』と銘打たれた第5回九州再生歯科フォーラム講演会を聴講してきました。(副院長

主な講演は----

他に3社の再生医療関連の会社*1代表も講演をされました。

そもそも九州再生歯科フォーラムが、大学の研究者や市井の歯科医師によって形成されているので、このフォーラム関係者が講演をするだけで「民・学」の発表となるわけですが、今回はそれに民間の再生医療関連会社まで加わり、正に「民・産・学」が集うという珍しい講演会になりました。

さて、会場は約200名の参加者で埋め尽くされ、最初のエムドゲインに関する講演は、おそらく参加者全員が興味をもって聞き入ったことでしょう。以前からその効果については、業者や知人などからも聞いて知っていましたが、あらためて"魔法の薬"なのだと認識しました。今まで、使ってみようかと思ったことはしばしばありましたが、これで踏ん切りがつくと思います。

次に、テルダーミスやテルプラグを扱った講演では、正直、軽視していたこの材料の長所を再認識いたしました。

いずれにせよ、状況が許せば・・・つまり、患者さんが使ってみたいということであれば、是非とも使用してみたいものです。いかんせん、金額が・・・ねぇ(^^;。患者側と医療側の人間とでは、どうもモノの価値観に大きな隔たりがあるようで、それが大きな壁になっているようですね。

そして、目玉とでもいうべき上田先生の講演ですが、これは数年前にも先生の講演で聞いたことのある、厚生労働省治験による弊害を述べられていました。治験自体は非常に重要です。これを怠ると薬害肝炎や薬害エイズの悪夢を、また繰り返すことになってしまいます。ただ、気の遠くなるような時間をかけることと、材料や薬剤の安全性の確認を怠らないこととは、少し別物のような気がします。
実際、あまりにも治験に手間や時間がかかるもんだから、それが我慢できない日本の優秀な頭脳は物事がスピーディーなアメリカなどに流出してしまい、結果的に日本で考え出された発想やモノが外国製になってしまい、気が付けばそれらを高い金を出して輸入・購入する羽目になってるという・・・なんともまぁ、間抜けな構図が当たり前のようにいくつも作られているわけです。結局これは、医療を受ける側の皆さん、患者さんの懐具合を直撃しているわけですから、他人事ではないですよ。

さて、研究者や医療側の講演に加えて、今度はそれらをビジネスに乗せるための会社側からの講演も聴くことができました。ビジネスに関しては、ここで触れるのは適当ではないので、詳細は省きますが、薬事法医師法歯科医師法などの問題がクリアできれば・・・早い話が、お役人の方たちがもっと前向きで積極的であれば、すぐにでも患者さん達は再生医療のサービスを受けられる体制が整いつつある、もしくは既に整っているという事実を知ることが出来ました。

以前も書いたような気がしますが、歯がなくなって顎の骨*2が痩せてしまっている場合の骨再生や、その無くなってしまった歯自体の再生も絶対可能になるはずです。
私が現在流行のインプラントをやらないのも、ここに理由の一つがあります。
将来、天然の歯を再生できるはずですから、そのときまで『歯を植える』という行為はお預けにしておくつもりです。もちろん、インプラントをやっていれば、そのときに必要なスキルやテクニックはかなり身についているはずですから、インプラントをやっておいても損はないのですけどね(私には私なりの、そのメリットを打ち消すほどのやりたくない理由があるんです)。
ただ、あと10年以内に実用化されなかったら、そのもっと未来の私にはそれをやる体力とか気力があるかな、、、というのが最近のちょっとした不安です。

*1:アルブラスト社、TESホールディングス社、(株)CAセラピューティック

*2:厳密には歯槽骨